著作権問題とダウンロード違法化?

YouTubeニコニコ動画は非常に素晴らしいサービスで、情報技術の新たなる可能性を期待できる。2000年代前半はネット環境やPCのスペックは格段に向上したが、インターネット上のサービスに特に目新しいものは生まれてこなかった。しかし、回線やPCのスペック向上の下地もあり、この2〜3年でYouTubeを始めとした動画配信サービスの進歩は素晴らしく可能性を広げてきた。最近、誕生したニコニコ動画に至っては、サービスの場を提供する側、サービスを提供する側、サービスを受ける側が見事に連動するコミュニティを新たに生み、その勢いは計り知れない。動画職人が作成した動画にコメントがなされ、そのコメントを参考に動画職人は修正を加える。加えて、完成した動画を二次利用して、更に洗練された動画ができる。これはWeb2.0を体現している唯一のサービスではないだろうか。この何ヶ月かは非常にインターネットが楽しくて、ブラウザを立ち上げている時間が、また増えてしまった。

とはいえ、インターネット上でのサービスで人気が出てくると、必ず既存の権利者側からの反攻があり、ほとんど場合、著作権絡みの話が持ち上がってくる。インターネットの黎明期、P2Pソフトの氾濫、そして動画配信サービスと周期的に問題になってきたが、一向に解決されることがない。解決しないどころかインターネットの利用方法についてイチャモンがつくばかりで、窮屈になっていくばかりだ。

結論から言うと、インターネットに生まれる新しいサービスを現存の著作権法の考え方で上手く運用できることは絶対にないし、既存のメディアと動画配信サービスは競合し、ユーザーを奪い合いは必ず起きる。しかし、完全な正解を最初から求めず、一つ一つの問題を解決する気になれば、特に難しい問題ではないと個人的には考えている。著作権の問題にしても、ルールを明確化すればいいし、既存のメディアとの競合は、落とし所を調整すれば良いのだ。この問題が解決の糸口も見えず、悪化していくのは既得権益を守ろうとする力であろうことは、容易く想像が付く。

これまでこの問題への対応が推進されなかったのは、法律家も権利者もユーザーも、みんな面倒だと思っているところも要因だろう。MiAU(インターネット先進ユーザーの会)が設立されたのは、ITに携わる人間としては、とても良い傾向と思う。コンテンツ産業に留まらず、いずれはシステム開発者の過酷な状況を改善していくような活動もやって欲しいものだ。ネットユーザーの立場から、意見を発信する場や機関が少なかったが、これで少なくとも土俵は用意された。

さて、まずはホットな話題の動画関連について、提案したい。YouTubeニコニコ動画でアニメやドラマのアップロードが問題になっているが、動画については配信方法が限られているので、ルール決めは、それほど難しくないと考えている。法律的な問題として話し出すと、キリがないので、お互い利益になる落とし所を探す、という視点で白黒を付けることにする。ダウンロードが違法かどうか、キャッシュが違法かどうかなどは、些細な問題であり、どうすればみんなが幸せになれるか考えるべきだ。

[動画関連の問題点]
? DVDのコピーは違法

DVDは購入した人とその周囲の人が、視聴する権利を買っているのであって、不特定多数の人間が視聴できるように複製するのはNGである。DVD含まれるコンテンツの配信は違法。ソフトウェアと同じ考え方である。
ライトユーザーがホイホイDVDをコピーできるようなこの状況は、製作者どころかユーザーにも不利益しかもたらさない。DVDの売り上げは減るし、結果、DVDの価格が高騰していくだけである。ただし、現状の法律で十分であり、違法行為であることを周知徹底させる啓蒙活動をもっと活発に行えば良いだけである。技術的にDVDプレイヤーにアクティベーションの機能、プロダクトキーによる視聴回数制限の機能が生まれるだろう。(その代わり、価格は1000円前後であるべき。) 
啓蒙活動と技術による対応と平行して行わなければならないのは、「録音録画補償金の撤廃」。現在、記録メディアに課金されている「録音録画補償金」。これは撤廃しなければならない。この制度がある限り、ユーザーは納得しない。コピーしていないのに、補償金を徴収されるいわれはない。そもそも補償金は何処に使われているのやら・・・・・・

?不特定多数に発信されたコンテンツの中継は合法にする。
動画配信サービスで問題になるのが、放送されたアニメやドラマをアップロードすることであるが、CM付きで再配信するのは合法にしても、特に問題にならないのではないか。それより、プラスの要素が多いと思う。アニメでは顕著だが、地方は見れないアニメが多く、PeerCastや動画配信サービスにかなりの需要がある。超高性能なアンテナで東京の放送を見ても、何の問題にもならないが、インターネットで見ると問題になる、というのも変な話である。視聴者が増えるわけであり、DVDなどの関連商品の売り上げは、増えこそすれ減ることはない。(「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」はその典型である。)

P2Pソフトやニコニコ動画のようにCMをカットしてaviファイルとして、不特定多数に配るのは少し議論する必要があるが、少なくともPeeaCastのような放送内容をインターネット上に中継する場合は合法にすべきだ。(個人的な希望とすれば、放送された内容を改変していなければ、ファイルで配信されてもOKだと思う。)

PV(プロモーションビデオ)やトレーラーなども不特定多数の人間に公開されたものであるから、動画配信サービスに再配布されたからといって、目くじらを立てるような話ではない。今でも積極的に動画配信サービスに、権利者自らアップロードすれば良いのである。

?MADなど二次利用作品は制限付きで認める。(販売目的でない場合に限り許可)
好きな作品の動画を編集して自分好みの動画を作り上げるMADと呼ばれるコンテンツがあり、その歴史は結構長い。自分でプロモーションを作るケース、まったく異なる作品と組み合わせたりもするが、基本的に既存の著作物を二次利用しているものばかりだ。確かに現行の著作権法にモロ引っかかるのだが、この文化を消滅させるのも、大きな損失である。そもそも、現行の著作権法は、権利者が不利益と感じれば、かなり無茶な主張でも訴訟される穴だらけの古い法律なのだから、動画に特化して二次利用の範囲を明確化した新たなルールを追加すべきである。そもそも、コンテンツ別に著作権の条文があっても誰も困らない。
アニメや漫画業界は同人誌などの二次利用コンテンツに頼るところもあるはずだ。これらの二次利用作品から生まれた利益に権利者側も頼っている部分があるのだから、MADのための動画の二次利用は認めない、ということでは筋が通らない。しがらみを断ち切って、製作者・権利者側もメディアミックスの一環として、積極的に利用すれば良い。


以前は技術の進歩が早く、問題点も流動的で議論すること自体が難しかったが、今は問題点が明確になってきているので、対応方法を一つ一つ突き詰めていけば、解決するはずなのだ。とりあえず、ITの知識の少ないお年寄りに任せずに議論を進める場を設けるのが優先事項ですね。

今回は動画に特化してましたが、他の話は次回...